吉田秋生先生の作品の代表作のひとつ、「YASHA-夜叉-」
1996年7月号から2002年5月号『別冊少女コミック』(小学館)に、そして『月刊フラワーズ』創刊されたことに伴い、連載誌が移動となり2002年6月号から8月号に連載されていました。
2022年現在、コミックスは全12巻、そして文庫版は全6巻が刊行されています。
2020年から世間を賑わせている「新型コロナウィルスの流行」に伴い、このまんがのことを思い出した人も多いのではないでしょうか?
2001年に第47回小学館漫画賞を受賞したこともあるこのまんがについて、ご紹介していきます。
夜叉 漫画のあらすじ
沖縄の奥神島で暮らしている主人公の有末静(せい)は有末比佐子(ありすえひさこ)の息子。しかし、静は比佐子がかつて勤めていた、アメリカのネオジェネシス社の遺伝子技術により、神経細胞成長因子を組み込まれた受精卵を比佐子の子宮内に胚移植した、人工的な天才児(新しい人類)でした。
比佐子はお腹に子を宿したまま、ネオジェネシス社から逃亡し、沖縄の奥神島で静を出産。
静(せい)は普通の子どもと同じように比佐子や奥神島の人々に愛されながら育てられていました。
ネオジェネシス社から行方を捕まれないように、静かに暮らしていましたが、静が12歳のとき、雨宮協一郎に発見されました。静を逃がそうとした比佐子は、静の目の前で米軍により射殺され、静は雨宮協一郎ではなくネオジェネシス社に拉致されてしまいました。
静は母を目の前で殺された精神的ショックから心を閉ざしてしまいます。そんな中、ライアン博士と世話係兼ボディーガードのケン・クロサキが静のために尽したことにより立ち直る。
やがて、静はネオジェネシス社の財産として英才教育を受け、ウイルス学の主席研究員となり、18歳で博士号を授与されます。そんな時に、ライアン博士はジェネシス社における静の奴隷的な立場を憂い、日本で発生している、未知のウィルスによる感染症を特定するため、という名目で日本に行くことを勧めます。
そして、日本に到着してから、静は自分の姿と瓜二つの雨宮凛(あまみやりん)という人物に出会い、「お兄ちゃん」と呼ばれたことから、自分と同じ能力を持つ人物がもう一人いる、というところから、ストーリーがどんどん展開していきます。
そして、この作品のストーリーには吉田秋生先生ファンには堪らないとっておきのサプライズが仕掛けられており、吉田秋生先生の過去の作品「BANANA FISH」の作品に登場していた少年、シン・スウ・リンが成長し、華僑の頂点に立つ若き青年実業家となって、このまんがの中で登場しているのです。
吉田秋生先生のまんがのファンには堪らない、粋な仕掛けとなっています。
夜叉 まんがのウイルスはコロナウィルスなのか?
そして、このまんがの中で未知のウィルスによる感染症によって、人々がパニックになる様子が描かれているシーンがあります。これが、2020年から世界的に流行している「新型コロナウィルス」が流行りだしたときを彷彿とさせるようなシーンがいくつも見られるのです。
吉田秋生先生が未来を予言したのか⁉なんて思った人もいるかもしれません。
そこで、感染症は発生したとき、どのような対応を取られるのか調べてみると、まんがで描かれていることは、「新型コロナウィルス」の発生を予言したものではないことが分かります。
感染症の種類を大別すると五類感染症から一類感染症があり、五種はインフルエンザウィルスなどの比較的軽度な症状で感染力のあるものが多く、一類はエボラ出血熱のような、症状が重篤かつ感染力のあるものまであります。そのため、このまんがで描かれた「新種のウィルス」は、感染力もあり、かつ最悪死に至る例が多数報告されていたことから、感染症対策としては、一類感染症と同等の対応が必要なレベルに分類されたと考えられます。
そういう意味では、この作品を通じて、一類感染症が発生したときに、どんな対応がおこなわれるのか、知ることができるのす。
これは他のまんがでもそうだと思いますが、できるだけ実際に起こることに忠実に調べられたことを、まんがに反映しているからこそ、「新型コロナウィルス」の対応の様子と重なって見えたと考えると納得できる話ですね。
夜叉 まんがの続編はどんな内容?
このまんがの続編となる作品、「イヴの眠り」が2003年8月から月刊フラワーズにて連載されました「イヴの眠り」は「夜叉」の主人公・静の娘が新たな主人公となり、登場人物たちのその後が描かれています。そして、それ以外に夜叉本編で明かされなかった謎解きの話と「イヴの眠り」とを繋げるエピソードを描いた「魂送り(マブイウクリ)」や、2003年1月号に「夜叉」、そして「イブの眠り」の登場人物ケン・クロサキとルー・メイの出会いのエピソードを描いた「ハウメアの娘」が発表されています。
こちらの話も、「夜叉」本編と同様、かなりスリリングなストーリー展開が予想されます。
こちらの作品は改めてご紹介していきたいと思います。
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